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酌井社労士事務所便り【2025年7月号】(2025/7/7)

7月の人事労務に関する最新情報をお知らせします。


カスハラ・就活セクハラ対策を盛り込む法改正が行われます

 

6月4日、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。一部を除き、公布の日から起算して1年6月以内で政令で定める日に施行されます。

 

◆改正の概要

1.ハラスメント対策の強化【労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法】

① カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化する。

② 求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化する。

③ 職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動を行う国の責務を定める。

2.女性活躍の推進【女性活躍推進法】

① 男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付ける。

② 女性活躍推進法の有効期限を令和18年3月31日まで、10年間延長する。

③ 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨を、基本原則において明確化する。

④ 政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付ける。

⑤ 女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加する。

⑥ 特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図る。

3.治療と仕事の両立支援の推進【労働施策総合推進法】

○ 事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。

【厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要」】

https://www.mhlw.go.jp/content/001438881.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html



年休取得義務化6年目の現状

~厚生労働省「労働時間制度等に関する実態調査結果」より


 

年次有給休暇のうち年5日の時季指定義務が法定されてから6年が経過しました。厚生労働省の調査によると、時季指定義務の運用方法は次のような割合(10人未満事業所を除く)になっています。

① 切替始めに計画年休制度により年5日を指定 16.3

② 労働者の意見を聞いた上で使用者が年5日を指定 14.2

③ 労働者の取得に委ねて年5日取得できている 62.0

④ 労働者の意見を聞かずに使用者が年5日を指定 1.9

⑤ 指定できておらず、年5日取得できていない 3.4

 

◆制度運用の課題

企業規模別では、「企業規模300499人」では①が38.4%と他の企業規模(10人未満を除く)の平均より約3倍も多くなっている一方、⑤が9.1%と約4倍も多いことです。つまり、300499人規模の企業では年間計画を立てている企業が多い一方、年5日取得できていない労働者がいる企業も多いということです。

これは、従業員が増えることで管理が難しくなることを示しています。管理のためには制度化が必要ですが、一方で計画を立てすぎると柔軟な運用が難しくなり、現場の納得感も得られにくくなります。制度の運用方法を見直す際は、こうした点に留意することが重要です。

 

◆消滅年休の活用

また、2年の時効を迎えた年次有給休暇については、「そのまま消滅」としている企業が60.0%と多数を占める一方、「特別休暇等として積み立てている」企業は6.6%にとどまっています。こうした有効活用の取組みは、企業の魅力向上にもつながる可能性があります。

現在、人手不足や採用難が深刻化しており、今後は介護離職による労働力不足も懸念されています。対策として、介護などの理由で年休を有効活用できる制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【厚生労働省「労働時間制度等に関する実態調査結果について(概要)」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001491863.pdf


7月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

 

10

  健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]<前月以降に採用した労働者がいる場合>

  労働保険の今年度の概算保険料の申告と昨年度分の確定保険料の申告書の

提出期限<年度更新>[労働基準監督署]

  労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

 

15

  所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]

  障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  

31

  所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所] 

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

  固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。


社会保険労務士 酌井敦史
酌井社会保険労務士事務所/合同会社メグリア代表
伊勢商工会議所にて企業の経営相談や労務管理に従事した後、2018年に社労士として独立開業。
得意分野である労働法務・給与計算業務を中心に、採用から退職までトータルに支援している。県外のお客様にはオンラインでの対応も精力的に行っており、地域No.1の人事労務の総合商社を目指す。


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