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酌井社労士事務所便り【2025年2月号】(2025/2/3)

2月の労務に関する最新情報をお知らせします。


(1)令和7年年金改正のゆくえ~社会保障審議会年金部会における議論の整理

◆5年に一度の年金財政検証
令和6年は、5年に一度の年金財政検証を行う年で、同年12月25日に社会保障審議会年金部会における報告書が公表されました。令和7年の年金制度改正は、主に下記課題への対応を大きな柱に議論されてきました。
・平均寿命・健康寿命の延伸や家族構成・ライフスタイルの多様化、女性・高齢者の就業拡大、今後見込まれる最低賃金の上昇・持続的な賃上げという社会経済の変化に対応する観点から取り組むべき課題
・年金制度が有する所得保障機能の強化の観点から取り組むべき課題

◆令和7年年金制度改正の具体的内容(目次)
1 被用者保険の適用拡大
2 いわゆる「年収の壁」と第3号被保険者制度
① いわゆる「106 万円の壁」への制度的対応
② 第3号被保険者制度
3 在職老齢年金制度の見直し
4 標準報酬月額上限の見直し
5 基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了
6 高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等
① 20代から50代の子のない配偶者の遺族厚生年金
② 20代から50代の子のある配偶者の遺族厚生年金
③ 遺族基礎年金(国民年金)
7 年金制度における子に係る加算等
8 その他の制度改正事項
9 今後検討すべき残された課題
① 基礎年金の拠出期間の延長(45年化)
② 障害年金

国民年金の基礎年金制度が導入されてから40年、社会や経済の状況が大きく変化してきていることに伴い、今回の改正は、被用者保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直しといった従来からの検討項目に加え、遺族年金や基礎年金マクロ調整の早期終了など、大きな見直しとなっています。
今通常国会で審議され改正内容は固まりますが、これまでの年金制度改革の経緯なども押さえておくとよいでしょう。
【厚生労働省 社会保障審議会年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」】
https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/001364986.pdf

(2)労働安全衛生規則改正に伴う一部手続きの電子申請が義務化されました

 労働安全衛生規則の改正により、令和7年1月1日以降、労働者死傷病報告ほか一部手続きの電子申請が義務化されました。

◆電子申請が義務化された手続き
・総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
・定期健康診断結果報告
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
・労働者死傷病報告
・有機溶剤等健康診断結果報告
・じん肺健康管理実施状況報告

◆従来の様式の廃止
令和7年1月1日以降は、従前の労働安全衛生規則様式は使用できなくなりました。ただし、パソコン端末を所持していない等の事情により電子申請が困難な場合には、当分の間、書面による報告も可能です。書面により報告する場合は、厚生労働省のwebページから様式のダウンロードを行い、所轄の労働基準監督署へ提出してください。

◆電子申請に便利な入力支援サービス
「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を利用すると、届出する様式(帳票)を作成・印刷したり、画面から入力した情報をe-Govを介して直接電子申請したりすることができます。また、入力した情報は使用した端末に保存できるので、作業の一時中断や、再申請などの場合に再利用が可能となります。

 既に多くの手続きが電子申請可能となっていますが、新たに義務となったものについては、今一度確認しておきましょう。
【厚生労働省「労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei_00002.html

(3)2月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

1日
○ 贈与税の申告受付開始<3月15日まで>[税務署]

10日
源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
[公共職業安定所]

17日
所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
※なお、還付申告については2月14日以前でも受付可能。

28日
じん肺健康管理実施状況報告の提出[労働基準監督署]
健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
固定資産税・都市計画税の納付<第4期>[郵便局または銀行]
※都・市町村によっては異なる月の場合がある。


社会保険労務士 酌井敦史
酌井社会保険労務士事務所/合同会社メグリア代表
伊勢商工会議所にて企業の経営相談や労務管理に従事した後、2018年に社労士として独立開業。
得意分野である労働法務・給与計算業務を中心に、採用から退職までトータルに支援している。県外のお客様にはオンラインでの対応も精力的に行っており、地域No.1の人事労務の総合商社を目指す。

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