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「労働時間規制の緩和」検討、約6割が肯定的~エン転職アンケートより(2026/3/23)

労働時間に関する制度は、企業の人員配置や賃金設計だけでなく、従業員の健康管理にも大きく関わります。 近年は「働き方の多様化」が進む一方で、長時間労働の抑制という観点も欠かせません。

今回は、転職サイト「エン転職」のアンケート結果をもとに、 労働時間規制の緩和に対して働き手がどのように感じているのか、ポイントを整理します。 制度の議論が進むときほど、会社としての考え方や運用ルールを事前に整えておくことが重要です。

目次

背景

令和8年通常国会で、約40年ぶりとなる労働基準法の大改正が見込まれていましたが、法案提出は見送られました。 その理由として、厚生労働省の審議会では働き方改革法の5年後見直しに関する議論が続く中で、 労働時間規制の緩和の検討や安心して働くことができる環境の整備等を指示したことが一因ともいわれています。

では、労働時間規制の緩和に関して、働き手はどのように思っているのでしょうか。 エン転職のユーザーアンケート結果から、意識の傾向を確認していきます。

規制緩和への印象は約6割が肯定的

労働時間規制緩和に対する印象については、57%が「良いと思う」 (「とても良いと思う」18%、「良いと思う」39%)と肯定的に評価しました。

「良いと思う」理由として最も多かったのは、「労働時間の希望を実現しやすくなるから」で57%でした。 ここからは、規制緩和を一律の“長時間化”として捉えるというより、 本人の希望に沿った働き方の選択肢が広がる点に期待する層が一定数いることがうかがえます。

「労働時間を増やしたい」は1割

一方で、正社員(フルタイム勤務)への設問では、実際に労働時間を増やしたいと回答した人は13%でした。 規制緩和に対して肯定的な印象があることと、個人が「実際に長く働きたい」と考えることは、必ずしも一致しない点が特徴的です。

回答の内訳は「現状維持をしたい」が47%で約半数を占め、「減らしたい」が38%と続きました。 企業としては「働く時間を増やしたい人もいる」ことを前提にしつつも、 多数派は現状維持または短縮を希望しているという現実を踏まえて、人員配置や業務配分を検討する必要があります。

約3割は規制緩和に否定的

規制緩和を「良いと思わない」と回答した人は27%でした。 否定的な層が一定数いることは、制度が変わる場合の社内運用やコミュニケーションにおいて重要な示唆になります。

「良いと思わない」理由として最も多かったのは「健康・身体への影響への懸念」で38%でした。 次いで多かったのが「意図しない労働時間増加への懸念」で34%です。 制度の建て付けがどうであれ、現場では「断りにくさ」や「同調圧力」によって、結果的に長時間化することへの不安が残りやすい点は押さえておきたいところです。

企業実務への示唆

この調査結果からは、規制緩和を単なる長時間労働につなげないためには、 個人の心身の健康への配慮と、本人の自由な意思に基づく選択を担保することが重要になることがうかがえます。

実務では、制度やルールを整えるだけでなく、運用として「本人が断れる」「不利益が生じない」「上司が適切に管理する」状態を作ることが欠かせません。 労働時間に関する議論が続く局面では、勤怠管理の精度、健康管理(面談・産業医連携等)、評価制度との整合性など、 会社としての仕組みを点検し、必要に応じて改善していくことが現実的な対応になります。

参考資料

本記事は、エン株式会社が公表した「労働時間規制緩和・残業」の意識調査をもとに整理しています。 調査の設問や自由記述の内容も含め、詳細を確認したい方は原文をご参照ください。

【参考】「労働時間規制緩和・残業」の意識調査
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2026/44441.html

労働時間の設計は、法令対応だけでなく、採用・定着・生産性・健康管理のすべてに関わります。 自社の状況に合わせた運用設計(規程整備、勤怠管理、36協定の運用、健康配慮の仕組みづくり等)を検討される場合は、お気軽にご相談ください。


社会保険労務士 酌井敦史

酌井社会保険労務士事務所/合同会社メグリア 代表

伊勢商工会議所にて企業の経営相談や労務管理に従事した後、2018年に社労士として独立開業。

労働法務・給与計算を中心に、採用から退職までトータルに支援。 県外企業にはオンラインで柔軟に対応し、地域No.1の人事労務の総合商社を目指しています。

労務管理や各種手続きに関するご相談は、酌井社労士事務所にお任せください!

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