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帰宅困難者等への対策ガイドラインが改訂されました(2026/3/16)

災害時の対応は「いざというときに決める」では間に合いません。 特に帰宅困難者が発生すると、従業員の安全確保だけでなく、事業継続や対外対応にも影響します。

内閣府が1月20日、「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」を改訂しました。 今回の改訂の要点と、企業として押さえておきたい実務対応を整理します。

目次

ガイドライン改訂の概要

内閣府は1月20日、「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」を改訂しました。 昨年7月、地震の揺れによる被害が生じていない状況下でも帰宅困難者対策が必要となったことを踏まえ、 名称を改めるとともに、新たな内容が記載されています。

企業の災害対応というと「地震」を前提にした準備になりがちですが、 今回の改訂は、帰宅困難者が発生する要因をより広く捉え、早めの判断と行動(出勤抑制・早期帰宅など)を重視する点が特徴です。 従業員へ的確な指示を出せる状態にしておくことが、混乱の抑制につながります。

追記内容のポイント

担当大臣は会見で、改訂により追記された内容として、次の点を挙げています。 いずれも「想定外」を減らすための視点であり、社内ルールの見直しに直結します。

追記内容は多岐にわたりますが、企業実務に関係が深いポイントは整理して理解しておくとスムーズです。 特に、地震以外の要因遠地津波、そして大規模イベントの観点は要注意です。

  • 地震以外の要因により帰宅困難者が発生する可能性があることを明示
  • 遠地津波により公共交通機関の運行停止が見込まれる場合には、あらかじめ出勤抑制や早期帰宅といった対応が有効であること
  • 大規模イベントの主催者は、食料や電源の供給、多言語での情報提供等を含む安全な誘導体制の整備と、自治体・公共交通機関との連携による事前準備が重要であること

遠地津波で帰宅困難者が発生する場合の考え方

ガイドラインでは、遠地津波に関する対応の考え方として、 「発生直後は公共交通機関の利用が可能な場合がある一方、津波警報等を受けて運転抑制が行われ、 津波の規模等によっては運転抑制が長期間に及ぶことが想定される」と示しています。

つまり、交通機関が止まる前の時間帯に「どう判断し、どう指示するか」が重要になります。 企業としては、公共交通機関の運転抑制開始までの時間を活用し、早期帰宅出勤抑制の呼びかけを行うことで、 帰宅困難者の発生を抑制することが求められます。

ガイドラインで示されている要点は次のとおりです(社内の意思決定フローを作る際のヒントになります)。

  • 遠地津波発生直後は公共交通機関の利用が可能な場合があるが、津波警報等を受けて運転抑制が行われる
  • 津波の規模等によっては運転抑制が長期間に及ぶことが想定される
  • 運転抑制開始までの時間を活用し、早期帰宅や出勤抑制の呼びかけを行うことで帰宅困難者の発生を抑制する
  • 遠地津波発生から運転再開までのタイムライン例等を参考に、対策の検討を進めることが重要

企業が準備すべき実務対応

ガイドラインを参考にする際のポイントは、内容を読んで終わりにせず、 「誰が・いつ・何を根拠に・どの指示を出すか」を社内ルールに落とし込むことです。 特に、複数拠点がある場合やシフト制の場合は、指示系統が曖昧だと判断が遅れやすくなります。

従業員側の不安を減らすためには、会社の方針が明確であることが重要です。 出勤抑制早期帰宅の判断基準、連絡手段、待機時の過ごし方などを事前に周知し、 「こういうときはこうする」という共通理解を作っておきましょう。

社内で見直したいチェック項目

実務でよく不足しがちな点を、最低限のチェック項目としてまとめます。 既存のBCP(事業継続計画)や災害対応マニュアルがある場合は、整合性も確認しておくと安心です。

特に、遠地津波のように「直後は動けてしまう」ケースでは、判断がばらつきやすくなります。 連絡・指示の一本化ができるよう、体制整備を優先しましょう。

  • 出勤抑制・早期帰宅を判断する基準(警報・交通情報・自治体発表など)
  • 判断者と代替者(不在時の権限移譲を含む)
  • 一斉連絡の手段(電話・メール・チャット・安否確認ツール等)の整備
  • 帰宅困難時の待機方針(社内待機の可否、待機場所、最低限の備蓄)
  • 多言語対応が必要な職場での情報提供方法

参考資料

ガイドライン本文は下記から確認できます。 内容は今後も状況に応じて更新され得るため、最新版を参照しながら社内体制の見直しを進めることをおすすめします。

とくに、従業員が多い事業所や公共交通機関での通勤者が多い職場では、 「いざというときに指示が出せる状態」を作るだけでも混乱を大きく減らせます。

【参考】災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン
https://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/pdf/kitakukonnan_guideline.pdf

災害時の初動は、事前準備で差がつきます。 帰宅困難者対策の社内ルール整備、就業規則・社内規程との整合、周知文書の作成なども含め、 状況に合わせた運用づくりをご希望の場合はお気軽にご相談ください。


社会保険労務士 酌井敦史

酌井社会保険労務士事務所/合同会社メグリア 代表

伊勢商工会議所にて企業の経営相談や労務管理に従事した後、2018年に社労士として独立開業。

労働法務・給与計算を中心に、採用から退職までトータルに支援。 県外企業にはオンラインで柔軟に対応し、地域No.1の人事労務の総合商社を目指しています。

労務管理や各種手続きに関するご相談は、酌井社労士事務所にお任せください!

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