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スポットワーク直前キャンセルをめぐる訴訟と厚生労働省のリーフレット(2025/12/29)

こんにちは、酌井社労士事務所です。
今回は、「スポットワーク直前キャンセル」をめぐる訴訟と、厚生労働省が公表したリーフレットについてご紹介します。

目次

(1)スポットワーク直前キャンセルをめぐる訴訟とは

いわゆるスポットワーク(単発・短時間の仕事マッチングサービス)では、企業側による「直前キャンセル」が以前から問題視されてきました。

今回、この直前キャンセルをめぐって、飲食店で働くはずだった大学生が店側を相手取り、賃金の支払いを求めて提訴するという事案が発生しました。

スポットワークを利用する労働者側の保護や、マッチング時点での「労働契約成立の有無」が争点となり、今後のビジネスモデルにも影響が出る可能性があります。

(2)訴訟に至るまでの経緯

川崎市の大学生の男性が請求した賃金額は1万4,000円でした。

男性はスポットワーク最大手の「タイミー」を通じて、5月に東京都内の飲食店で働く予定でしたが、前日にスマホにキャンセル通知が届きました。

約1年前からスポットワークを利用し、毎回異なる飲食店で働いていたものの、キャンセルは今回が初めてでした。 貯金をするために働こうとしていた男性は、別の仕事を探したものの、自宅から通いやすい仕事は見つからなかったとされています。

その後、別の仕事先でも直前キャンセルが3件続いたことから、男性は今回の提訴に踏み切りました。

(3)双方の主張のポイント

原告である男性側は、「マッチング時点で労働契約が成立しているとみるのが実態に即して合理的」と主張しています。

一方、タイミー側は「労働契約は出勤時にQRコードを読み込むことで締結される」との立場をとっており、これに対して原告側は、

  • この仕組みによって、意図的に休業手当を支払わずに済ませることが可能になっている
  • 結果として、労働基準法に違反する

との点を問題視し、賃金の支払いを求めています。

被告である飲食店の経営者は、マッチング時点で労働契約が成立するという認識はなかったとしています。

(4)厚生労働省リーフレットと今後の影響

スポットワークをめぐっては、2024年7月に厚生労働省が 「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」というリーフレットを公表しました。

その中で、「別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で、労使双方の合意があったものとして労働契約が成立する」 との考え方が示されています。

これを受け、主要なアプリ事業者は2024年9月に規約の見直しを行いました。

今回の訴訟は、こうした指針を踏まえたうえで、スポットワークにおける労働契約の在り方や、直前キャンセル時の補償について、裁判所がどのように判断するのかが注目されています。

今後の判決次第では、スポットワークのビジネスモデルそのものに影響が出る可能性も指摘されています。 人手不足対策の一環としてスポットワークを活用している企業にとっても、今後の動向を注視する必要があるでしょう。

【厚生労働省「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html


社会保険労務士 酌井敦史

酌井社会保険労務士事務所/合同会社メグリア 代表

伊勢商工会議所にて企業の経営相談や労務管理に従事した後、2018年に社労士として独立開業。

労働法務・給与計算を中心に、採用から退職までトータルに支援。
県外企業にはオンラインで柔軟に対応し、地域No.1の人事労務の総合商社を目指しています。

労務管理や各種手続きに関するご相談は、酌井社会保険労務士事務所にお任せください!

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