結論
(要点)
固定残業の対象時間は、36協定の上限である月45時間・年360時間の範囲内で、実態に近い時間に設定します。
対象時間を長くしすぎると基本部分の時給が下がり、最低賃金割れになるおそれがあるため必ず確認します。
雇用契約書・就業規則・給与明細の3点セットで基本給と固定残業手当を分けて明示します。
対象時間を超えた残業分は、固定額に含めず別途支給が必要です。
定額残業代(固定残業代)を導入するとき、いちばん迷うのが「何時間分にするか」「いくらに設定するか」です。設定を誤ると未払いや最低賃金割れにつながります。決め方のポイントを整理します。
固定残業の対象時間は、36協定で定めた時間外労働の上限の範囲内で設定します。時間外労働の原則的な上限は月45時間・年360時間です。実態よりも極端に長い時間(例:月80時間)を設定すると、長時間労働を前提とした不適切な運用とみなされるおそれがあります。実際の残業時間に近い、無理のない時間にしましょう。
対象時間を長くするほど固定残業手当が大きくなり、その分基本部分(基本給)が小さくなります。すると基本部分の時給単価が下がり、最低賃金を割ってしまうことがあります。基本部分の時給が最低賃金以上になっているか、必ず確認しましょう。
当事務所の定額残業代 計算ツールは、最低賃金を入力すると、基本部分の時給単価が下回っていないかを自動でチェックします。
雇用契約書・労働条件通知書:基本給と固定残業手当を分けて記載し、「◯時間分の時間外手当」と明示
就業規則・賃金規程:固定残業代の定義と、超過分を別途支給する旨を規定
給与明細:基本給・固定残業手当・超過残業手当を分けて表示
労働条件通知書は当事務所の作成ツールからも作れます。
対象時間を超えて残業した月は、超過分の割増賃金を「超過残業手当」などの名目で別途支払います。固定額に含めて済ませることはできません。
給与総額と対象時間を入れるだけで、定額残業代・基本部分・時給単価・給与明細の記入例まで表示します。何時間分にするか迷ったら、数字を変えながら確認してみてください。
36協定で定めた時間外労働の上限の範囲内で設定します。原則的な上限は月45時間・年360時間です。実態より極端に長い時間を設定すると不適切な運用とみなされるおそれがあるため、実際の残業時間に近い無理のない時間にします。
いいえ。設定した対象時間を超えて残業した月は、超過分の割増賃金を別途支払う必要があります。固定額に含めて済ませることはできません。
記事の監修者

酌井 敦史
しゃくい あつし
社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号
1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。
本記事は2026年6月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令は改正されることがあります。具体的なご対応は、お問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。