高額療養費が2026年8月から変わる|自己負担上限額の見直しポイント
2026/8/24
医療費が高額になったときの自己負担の上限が、2026年8月から引き上げられます。会社と従業員に関わる変更点を整理します。
結論
(要点)
2026年8月から、高額療養費制度の「月ごとの自己負担の上限」が全所得区分で引き上げられます。
あわせて、1年間の負担が膨らみすぎないよう「年間の上限」が新しく設けられました。
直近1年で3回以上使った4回目からの上限(多数回該当)は、8月以降も据え置きです。
病気やケガで医療費が高くなっても、健康保険には「払いすぎた分が後から戻ってくる」仕組みがあります。それが高額療養費制度です。この上限額が2026年8月から変わります。従業員から「医療費が高くて」と相談されたときに答えられるよう、経営者・担当者が押さえておきたいポイントをまとめました。
高額療養費制度は、医療機関の窓口で払う自己負担(一部負担金)が高額になったとき、月ごとの上限額を超えた分が後から払い戻される健康保険の給付です。ここでいう上限額を、この記事では「月額上限額」と呼びます。
上限額は所得によって決まります。給与が高い人ほど上限額が高く、低い人ほど低く設定されています。基準になるのは「標準報酬月額」です。これは毎月の給与を区切りのよい金額に当てはめたもので、保険料や上限額の計算に使われます。
今回の改正は、高齢化と医療の高度化で膨らむ社会保障費に対応するためのものです。負担が重くなりすぎないよう年間の上限を設けたうえで、月額上限額を引き上げます。8月からの70歳未満の上限額は次のとおりです。
表の「総医療費」とは、保険が使われる前の医療費の全額(10割分)のことです。①〜③は医療費が高いほど上限も少し上がる計算になっています。④⑤は医療費にかかわらず定額です。
年間上限額は今回新しく設けられた枠です。1年間で払う自己負担がこの額を超えないよう配慮されています。
高額療養費には、直近1年間に3回以上この制度を使うと、4回目からは月額上限額が下がる仕組みがあります。これを「多数回該当」といいます。長く療養が続く人の負担を軽くするための仕組みです。
この多数回該当の上限額は、8月以降も引き上げられず据え置きになりました。所得区分ごとの金額は次のとおりです。
長く治療が続いている従業員にとっては、この部分が変わらないことは知らせておくと安心につながります。
上限額が上がるということは、これまでより自己負担が増える人が出るということです。とくに医療費が大きくなりがちな入院や手術のあった従業員から、8月以降に「戻ってくる額が減った」という声が出る可能性があります。
会社として特別な手続きは必要ありませんが、従業員から相談を受けたときに「8月から上限額が変わった」と説明できる状態にしておくと安心です。制度の適用は加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)が行うため、具体的な自分の上限額を知りたい従業員には、加入先への確認をすすめてください。
2026年8月からです。8月以降にかかった医療費から、新しい月額上限額が適用されます。
上がりません。長く療養している人への配慮から、多数回該当の上限額は8月以降も据え置きです。
今回の改正で新しく設けられた、1年間に払う自己負担の上限です。月ごとの上限額が引き上げられる一方で、1年間の負担が膨らみすぎないよう区分ごとに上限が決められました。
記事の監修者

酌井 敦史
しゃくい あつし
社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号
1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。
本記事は2026年8月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。具体的なご相談はお問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。