結論
(要点)
厚生労働省が、労働条件通知書(雇うときに労働条件を書面で伝える書類)のモデル様式を更新しました。
パートや契約社員を雇い入れるとき、「正社員との待遇の違いの内容・理由について説明を求められる」ことを伝える項目が増えます。
この義務が始まるのは2026年(令和8年)10月1日から。夏のうちに自社の書式を見直しておくと安心です。
パートや契約社員を雇うとき、多くの会社は「労働条件通知書」という書面を渡しています。労働条件を書面で伝えるための書類です。この書類の見本として厚生労働省が用意している「モデル様式」が、今回更新されました。何が変わり、いつまでに何をすればよいのか。パート・契約社員を雇う経営者の方に向けて、順番に整理します。
厚生労働省から、2026年(令和8年)4月30日付けで通達(「『労働条件通知書等の普及促進について』の一部改正について(基発0430第1号)」)が出されました。この通達で、労働条件通知書のモデル様式が更新されています。
今回の更新は、2026年(令和8年)4月28日に公布された省令(令和8年厚生労働省令第87号)が、同じ年の10月1日から施行されることに合わせたものです。つまり、様式が変わる背景には、法令のルール変更があります。
今回のルール変更で新しく加わるのが、雇い入れるときに伝える事項です。
パートタイム労働者や有期雇用労働者(契約期間の定めがある社員)を雇い入れるとき、これまでの労働条件の明示事項に加えて、新たに次のことを伝える義務ができます。「正社員などとの待遇の違いの内容・理由について、説明を求めることができる」という点です。
これは、同一労働同一賃金(正社員と非正規社員の間で、不合理な待遇差をなくす考え方)に関わるルールです。派遣労働者を雇い入れるときや派遣するときの就業条件を伝える場面でも、同じように項目が追加されます。
「では、書式のどこが変わるのか」と気になった方もいるはずです。変更点は、モデル様式の「その他」欄です。
この欄に、次の一文が追加されました。
> ・次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。
あわせて、その窓口の部署名・担当者の職氏名・連絡先を記載する形になっています。
なお、この窓口が、苦情などを含めた相談の受付先と同じ場合は、「同上」などと書いても差し支えありません。担当が同じなら、無理に別々に書く必要はないということです。
義務が始まるのは2026年(令和8年)10月1日からです。パートや契約社員を雇う予定がある会社は、それまでに自社の労働条件通知書を見直しておくと安心です。
具体的には、いま使っている書式に「待遇の違いについて説明を求められる窓口」を書き足し、その窓口となる部署・担当者・連絡先を決めておく作業になります。詳しい内容や実際のモデル様式は、下記の厚生労働省のページで確認してください。
▼参考
「労働条件通知書等の普及促進について」の一部改正について(令和8年4月30日基発0430第1号)(厚生労働省)
2026年(令和8年)10月1日からです。この日以降にパートや契約社員を雇い入れるときは、新しい明示事項に対応した労働条件通知書を使う必要があります。夏のうちに書式を準備しておくと直前で慌てずに済みます。
モデル様式の「その他」欄に、「次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる」という一文と、その窓口の部署名・担当者の職氏名・連絡先を書き足します。
いいえ。この窓口が、苦情などを含めた相談の受付先と同じ場合は、「同上」などと記載して差し支えありません。すでにある相談窓口をそのまま使えます。
記事の監修者

酌井 敦史
しゃくい あつし
社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号
1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。具体的なご相談はお問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。