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2026年分の年末調整はここが変わる|基礎控除の引上げと扶養の所得要件62万円

2026年分の年末調整はここが変わる|基礎控除の引上げと扶養の所得要件62万円

国税庁が「令和8年分 年末調整のしかた」を公表し、基礎控除の引上げや扶養親族等の所得要件の見直しなど、今年の年末調整で対応が必要な変更点が明らかになりました。

結論

(要点)

  • 基礎控除が62万円から104万円に引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も74万円に上がりました。

  • 扶養親族や同一生計配偶者の所得要件が58万円以下から62万円以下に緩和され、これまで扶養控除の対象外だった家族が新たに対象になる場合があります。

  • 改正は2026年(令和8年)12月1日に施行され、2026年分の年末調整から対応が必要です。

国税庁から「令和8年分 年末調整のしかた」(全64ページ)が公表されました。今年は変更点が多く、なかでも扶養親族等の所得要件の改正は、去年と同じ感覚で書類を集めると申告漏れが起きかねない内容です。この記事では、昨年と比べて変わった点を4つに整理し、会社として何を確認すればよいかをまとめます。

基礎控除が62万円から104万円に引き上げられた

1つ目の変更が、基礎控除の引上げです。基礎控除とは、所得のある人なら原則として誰でも差し引ける控除のことをいいます。

改正前は58万円から95万円でしたが、改正後は62万円から104万円になりました。金額に幅があるのは、合計所得金額に応じて控除額が決まる仕組みだからです。所得が低い人ほど控除額が大きくなる形で設計されています。

2つ目が、給与所得控除の最低保障額の引上げです。給与所得控除とは、給与をもらっている人の必要経費にあたる部分として、あらかじめ決まった金額を差し引ける仕組みのこと。その最低保障額が、改正前の65万円から74万円に上がりました。

この2つの引上げにともなって、所得税法で定める2026年(令和8年)分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」も改正されています。年末調整の計算に使う表そのものが変わるということです。給与計算ソフトを使っている会社は、新しい表に対応した状態になっているかを確認してください。

扶養の所得要件が58万円以下から62万円以下に

3つ目が、基礎控除の引上げにともなう扶養親族等の所得要件の改正です。実務でいちばん影響が大きいのは、この変更だと考えてください。

改正の内容は次のとおりです。

  • 扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子:62万円以下(改正前は58万円以下)

  • 特定親族:62万円超123万円以下(改正前は58万円超123万円以下)

  • 配偶者特別控除の対象となる配偶者:62万円超133万円以下(改正前は58万円超133万円以下)

  • 勤労学生:89万円以下(改正前は85万円以下)

なお、ひとり親の生計を一にする子については、合計所得金額ではなく総所得金額等の合計額で判定します。

ここで押さえておきたいのは、要件が緩くなったことで、これまで扶養控除等の対象外だった親族が新たに対象になる場合があるという点です。たとえば、去年は所得が基準をわずかに超えていたために扶養から外していた家族が、今年は対象に入ってくることがあります。

従業員本人が「うちの家族は去年も対象外だったから、今年も書かなくていい」と判断してしまうと、受けられるはずの控除を取り逃します。会社から一言伝えておくだけで防げる話なので、書類を配るときに改正があったことを知らせておきましょう。

23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除

4つ目が、年齢23歳未満の扶養親族がいる人を対象とした生命保険料控除の特例です。新生命保険料にかかる一般生命保険料控除の限度額が、改正前の4万円から6万円に引き上げられました。

子育て世帯の負担を軽くする趣旨の見直しです。対象になるかどうかは従業員ごとの家族構成で変わるため、申告書の記載内容から個別に判断することになります。

会社が今のうちに確認しておきたいこと

これらの改正は2026年(令和8年)12月1日に施行され、2026年分の年末調整をはじめとする同年12月以後の源泉徴収事務から対応が必要になります。つまり、今年の年末調整がそのまま最初の適用場面です。

会社側でやっておきたいことは3つあります。まず、給与計算ソフトが新しい控除額と新しい給与所得控除後の金額の表に対応しているかの確認。次に、従業員への周知です。特に扶養の所得要件が62万円以下に変わった点は、本人が気づかないと申告書に書かれないまま終わってしまいます。3つ目が、集めた申告書の内容のチェックです。

国税庁は「令和8年分 年末調整のしかた」のほかに、各種申告書の記載例、周知文例、Q&Aといった関連資料も公表しています。従業員への案内文をゼロから作る必要はありません。周知文例を土台にして、自社の提出期限だけ書き足す形にすると手間を減らせます。

なお、税法上の扶養と社会保険の扶養は判定の基準が異なります。社会保険の扶養でお困りのときはご相談ください。

よくある質問

・今年の年末調整から対応が必要ですか?

必要です。改正は2026年(令和8年)12月1日に施行され、2026年分の年末調整など、同年12月以後の源泉徴収事務から対応することになります。

・去年は扶養に入れられなかった家族が、今年は対象になることはありますか?

あります。扶養親族や同一生計配偶者の所得要件が58万円以下から62万円以下に緩和されたため、これまで対象外だった親族が新たに対象になる場合があります。従業員には、去年と同じ判断で書かないよう伝えておいてください。

・生命保険料控除の限度額は誰でも6万円になりますか?

いいえ。引き上げられるのは、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の特例として、新生命保険料にかかる一般生命保険料控除の限度額です。対象になるかは従業員ごとの家族構成で決まります。

記事の監修者

酌井 敦史

しゃくい あつし

社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表

全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号

1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。

本記事は2026年10月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。具体的なご相談はお問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。