【2026年7月】社労士だより|同一労働同一賃金ガイドライン改正・職場の熱中症対策ほか
2026/7/6
2026年(令和8年)7月に経営者が押さえておきたい労務の話題を、同一労働同一賃金・熱中症対策・今月の手続きの3つにしぼってお届けします。
結論
(要点)
同一労働同一賃金ガイドラインが改正され、2026年(令和8年)10月1日から適用される。各種手当や福利厚生の考え方が具体化され、非正規社員への説明対応の重要性が増す。
職場の熱中症対策は2025年(令和7年)6月から義務になった。2025年の熱中症の死傷者は1,803人で過去最多、特に高年齢の社員に注意が必要。
7月の労務・税務の主な期限は10日・15日・31日。労働保険の年度更新や算定基礎届など、社会保険の大きな手続きが集中する。
7月は労働保険や社会保険の大きな手続きが重なる月です。この記事では、10月に適用が始まる同一労働同一賃金のガイドライン改正、義務化された職場の熱中症対策と使える補助金、そして7月中の手続き期限を、経営者の視点でまとめました。
正社員と非正規社員(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の間に待遇の差があるとき、その差が不合理かどうかを判断するための国の指針です。原則となる考え方や具体例、注意点をまとめたものと考えてください。
2026年(令和8年)4月28日に改正の省令・告示が公布され、改正後のガイドラインは2026年(令和8年)10月1日から適用されます。適用まで時間があるように見えますが、就業規則の点検には手間がかかります。今のうちから準備を始めておくと安心です。
今回の改正では、これまでの裁判例を踏まえて記載が見直され、内容の明確化や充実が図られました。新しく追加された項目もあります。
特に、各種手当(退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当など)や福利厚生(夏季・冬季休暇、褒賞など)について、具体的な考え方や例が加わりました。自社の手当がどういう基準で支給されているか、正社員と非正規社員で差があるならその理由を説明できるか、という点が問われます。
あわせて、非正規社員を雇い入れるときの労働条件の明示事項が増えます。これまでの明示事項に加えて、新たに「正社員との待遇の差の内容や理由について、説明を求めることができる」旨を伝えることが必要になります。説明のしかたは、資料を使って口頭で説明する方法か、説明すべき事項をすべて書いたわかりやすい資料を渡す方法のどちらかです。
これから大切になるのは、非正規社員から説明を求められたときにきちんと答えられるようにしておくことです。具体的には、各種手当や福利厚生の支給基準を見直すこと、就業規則を点検すること、説明の担当や手順を整えておくことの3つです。
厚生労働省が関連する書式やリーフレットを公表しています。それらも使いながら、早めに確認と対応を進めましょう。手当の見直しは影響が大きい部分です。判断に迷ったときは、着手する前にご相談ください。
【参考】
同一労働同一賃金特集ページ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
2025年(令和7年)に職場の熱中症でけがや病気をした人(死傷者)は1,803人でした。統計を取り始めた2005年(平成17年)以降で最も多い人数です。
年齢別に見ると、25〜29歳の129人に対して、60〜64歳は181人、65歳以上は278人と、高年齢の人が多くなっています。年齢を重ねると体温を調節する働きや暑さの自覚が弱まるため、熱中症になりやすくなります。高年齢の社員が働く職場では、会社として積極的な安全への配慮が求められます。
2025年(令和7年)6月に改正された労働安全衛生規則(職場の安全と衛生を定めた国のルール)では、職場の熱中症対策が「義務」とされました。重症化を防ぐために、次の3つが義務付けられています。
体制の整備(誰がどう対応するかを決めておく)
手順の作成(見つけたときにどう動くかを決めておく)
関係者への周知(決めた内容を社員に知らせておく)
違反すると、罰則が適用されたり、業務の停止を命じられたりする可能性があります。形だけでなく、実際に機能する対応が必要です。具体的には、WBGT値(暑さ指数。気温・湿度・日差しから算出する熱中症の危険度の目安)を把握し、それに応じて作業環境を改善すること、作業の負担を軽くすること、休憩や水分補給を管理することなどが求められます。
60歳以上の高年齢の社員の熱中症予防には、「エイジフレンドリー補助金(熱中症対策コース)」が使えます。スポットクーラー、ミストファン、WBGT指数計、電動ファン付きの作業服などを導入する費用が補助の対象です。
申請は事業者自身が行う必要があります。審査での要件確認や書類の準備には一定の時間がかかり、実務の対応も発生します。申請の受付は2026年(令和8年)10月31日までですが、予算額に達した時点で終了します。使いたい場合は早めに検討を始めてください。
【参考】
令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73330.html
「令和8年度エイジフレンドリー補助金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
7月に期限を迎える主な手続きを、提出先・納付先とあわせてまとめました。自社に当てはまるものがないか確認してください。なお「公共職業安定所」はハローワークのことです。
7月は労働保険の年度更新と、社会保険の算定基礎届が重なる時期です。どちらも会社の負担額に関わる大切な手続きです。
源泉徴収税額とは、給与から会社が天引きして預かっている所得税のことです。特別徴収は、社員の住民税を会社が給与から天引きして代わりに納める仕組みを指します。
納め忘れると延滞税などがかかる場合があるため、期限に注意してください。なお、都・市町村によっては固定資産税・都市計画税の納付月が異なる場合があります。
記事の監修者

酌井 敦史
しゃくい あつし
社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号
1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。具体的なご相談はお問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。