【2026年8月】社労士だより|有給休暇の計画的付与・働き続けるための健康管理ほか
2026/8/3
2026年(令和8年)8月に経営者が押さえておきたい労務の話題を、有給休暇・健康管理・今月の手続きの3つにしぼってお届けします。
結論
(要点)
お盆に合わせて計画的付与制度を使うと、会社の側から休暇日を割り振れて社員が休みやすくなる。導入には労使協定が必要。
労働者の健康管理は、運動や食事の「健康づくり」から、健診後のフォローまで含む「働き続けるための健康管理」へと軸が移りつつある。
8月の労務・税務の主な期限は10日と31日。源泉所得税・住民税・社会保険料の納付などが集中する。
8月はお盆をはさみ、休暇と手続きが重なる月です。この記事では、夏休みに使える有給休暇の制度、国で見直しが進む健康管理の考え方、そして8月中の手続き期限を、経営者の視点でまとめました。
8月は13〜15日をお盆休みにする会社が多いようです。今年は土日休みの会社なら、10日と12日を休みにすることで最大9連休を取ることもできます。暑さが続くと体力を消耗しがちです。会社としても、きちんと休んで回復する機会を確保しながら夏を乗り切りたいところです。
まとまった休みを取りやすくする方法のひとつが、年次有給休暇の計画的付与制度です。これは、社員に与えた有給休暇の日数のうち5日を残し、残りの日数について、会社と社員代表が労使協定(会社と従業員の間で結ぶ取り決め)を結ぶことで、休暇を取る日をあらかじめ割り振れる制度です。
割り振り方には3つのやり方があります。
一斉付与方式:全従業員に同じ日を割り当てる
交替制付与方式:班やグループごとに交替で割り当てる
個人別付与方式:社員一人ひとりに割り当てる
会社の実態に合わせて選べます。お盆や年末年始のようにまとまった休みを作りたいときは一斉付与方式、業務を止められない職場なら交替制付与方式、というように使い分けられます。
2025年の「就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年次有給休暇の平均取得率は66.9%でした。2015年の47.6%から改善しています。一方で、労働者の約3分の2は取得にためらいを感じているというアンケート結果もあります。特に大型連休は業務の調整が必要になるため、自分からは言い出しにくいと考えられます。
会社の側から休暇日を割り振る計画的付与制度を使えば、社員が「休みます」と切り出す必要がなくなります。結果として、休みやすい職場環境づくりにつながります。
ただし、どの付与方式を採用するか、入社したばかりで有給休暇が5日に満たない社員にどう対応するかなどを決めたうえで、労使協定を結ぶ必要があります。厚生労働省が運営する「働き方・休み方改善ポータルサイト」などを参考に、自社に合う形を検討してみてください。
【参考】働き方・休み方改善ポータルサイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/planned-granting/
社員の健康を守る取り組みの考え方が、大きく変わろうとしています。厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会」で、THP指針の見直しなどが議論されています。THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)とは、企業が社員の健康づくりを進めるための国の指針のことです。
この指針は1988年(昭和63年)の策定以来、社員の健康づくりに企業が求められる取り組みを示してきました。しかし、高い年齢まで働く人が増えたことや、病気を抱えながら働く人が増えたことなど、職場を取り巻く環境の変化を踏まえ、見直しが検討されています。
論点になっているのは、運動や栄養指導といった「病気にならないための予防」だけでなく、病気の早期発見・早期治療につながる仕組みづくりです。健康診断のあとに精密検査を勧めることなど、政府が掲げる「攻めの予防医療」を進める内容になっています。
6月30日に示された報告書案では、今後企業に求められる取り組みとして、健康診断の結果を踏まえたフォローアップが挙げられています。具体的には、再検査や治療が必要な社員への受診の勧めや受診機会の提供、受診のための休暇の付与などです。あわせて、経済産業省が進める健康経営との連携や、治療と仕事の両立支援をさらに進めることも示されています。
報告書案は、改正後のTHP指針に盛り込むべき点や、「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」の改定にも触れています。今後の改正の内容には注意しておきたいところです。
社員の健康を守ることは、人材の確保や定着の面からも大切なテーマになっています。健診の結果を「渡して終わり」にせず、その後のフォローまで見据える体制を整えておくと安心です。
【参考】事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72639.html
8月に期限を迎える主な手続きを、提出先・納付先とあわせてまとめました。自社に当てはまるものがないか確認してください。なお「公共職業安定所」はハローワークのことです。
源泉徴収税額とは、給与から会社が天引きして預かっている所得税のことです。特別徴収は、社員の住民税を会社が給与から天引きして代わりに納める仕組みを指します。どちらも納め忘れると延滞税などがかかる場合があるため、期限に注意してください。
記事の監修者

酌井 敦史
しゃくい あつし
社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号
1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。
本記事は2026年8月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。具体的なご相談はお問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。