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【2026年9月】社労士だより|精神障害の労災認定が過去最多・全国労働衛生週間ほか

【2026年9月】社労士だより|精神障害の労災認定が過去最多・全国労働衛生週間ほか

2026年(令和8年)9月に経営者が押さえておきたい労務の話題を、精神障害の労災・全国労働衛生週間・今月の手続きの3つにしぼってお届けします。

結論

(要点)

  • 精神障害による労災の支給決定件数が7年連続で過去最多を更新した。認定要因のトップはパワーハラスメントで、長時間労働を上回っている。

  • 10月1日から7日は「全国労働衛生週間」。その準備期間が9月1日から30日で、健康診断後の対応やストレスチェックの見直しに取り組む1か月になる。

  • 9月の労務・税務の主な期限は10日と30日。源泉所得税・住民税・社会保険料の納付などが集中する。

9月は、10月に控えた取り組みの準備をする月です。この記事では、公表されたばかりの労災の統計と、そこから見えるハラスメント対策の課題、そして9月中の手続き期限を、経営者の視点でまとめました。

精神障害による労災認定が7年連続で過去最多

支給決定件数は1,082件、請求件数も過去最多

厚生労働省が7月15日に公表した2025年度(令和7年度)「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災の支給決定件数は1,082件でした。前年度の1,056件を上回り、7年連続で過去最多を更新しています。請求件数も4,958件と過去最多になりました。

支給決定とは、労災と認められて保険給付の支払いが決まったことを指します。請求件数が増え、認められる件数も増え続けているのが、いまの状況です。

多いのは介護・医療・運送の現場

業種別(中分類)で支給決定件数が最も多かったのは「社会保険・社会福祉・介護事業」の151件でした。次いで「医療業」139件、「道路貨物運送業」68件、「総合工事業」51件、「飲食店」45件と続きます。人手が足りず、人と接する時間が長い職場に集中している傾向が読み取れます。

認定要因の1位はパワーハラスメント

精神障害の認定要因として最も多かったのは、対人関係に関する「上司等からのパワーハラスメント」で222件です。次いで「顧客や取引先、施設利用者等からの著しい迷惑行為」127件と「セクシュアルハラスメント」127件が並びました。仕事の量・質に関する「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」は40件で、これらを下回っています。

つまり、労働時間を減らすだけでは足りません。パワハラ、セクハラ、カスハラ(顧客などからの著しい迷惑行為)といった各種のハラスメントが、社員の心の不調を引き起こしていることが数字に表れています。

10月からカスハラ対策と就活セクハラ対策が義務化

企業に求められるのは、方針の策定と周知、相談体制の整備、職場環境の改善といったハラスメント防止措置の徹底です。しかも10月からは、新たにカスハラ対策と就活セクハラ対策が全企業に義務付けられます。9月のうちに、自社の対策がどこまでできているかを確認しておくと安心です。

【参考】令和7年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74476.html

2026年度「全国労働衛生週間」は10月1日から7日

9月は「準備期間」にあたる1か月

全国労働衛生週間は、労働衛生への意識を高め、働く人の健康確保を自主的に進めてもらうことを目的に、毎年実施されています。2026年度(令和8年度)は10月1日から7日までです。そして9月1日から30日が準備期間にあたります。

週間中に事業場で行うこととして示されているのは、次の5つです。

・事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視

・労働衛生旗の掲揚およびスローガン等の掲示

・労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰

・有害物の漏洩による事故、酸素欠乏症等による事故など、緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施

・労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施

準備期間の9月に取り組みたい6つの分野

準備期間中に実施する事項として、次の内容が挙げられています。自社に関係するところから手をつけてみてください。

・健康保持増進・女性の健康・両立支援:体制や計画の策定、健康教育、各種検診の推進、女性特有の健康課題への対応、治療と就業の両立支援体制の整備

・メンタルヘルス・過重労働・熱中症:ストレスチェックと職場環境改善、労働時間の把握や医師の面接指導、WBGT値(暑さ指数)に基づく熱中症予防の徹底

・小規模事業場・個人事業者等:産業保健活動の充実、個人事業者等の安全衛生確保・配慮

・化学物質・石綿対策:ラベルとSDS(化学物質の安全データシート)の確認、リスクアセスメントの実施、解体等での石綿ばく露防止の徹底

・労働衛生3管理・教育:作業環境測定や換気等の改善、作業負担の軽減、健康診断後の事後措置、雇入れ時・特別教育等の実施

・作業内容・環境等への対応:転倒・腰痛の防止、テレワークや情報機器作業の管理、粉じん・騒音・受動喫煙・酸素欠乏・一酸化炭素中毒等の防止対策の徹底

最初のトピックで見たとおり、心の不調による労災は増え続けています。ストレスチェックの結果を職場改善につなげているか、健康診断のあとの再検査を勧められているか。この2点だけでも9月中に見直しておくと、10月からの動きがつくりやすくなります。

【参考】令和8年度「全国労働衛生週間」を10月に実施

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74929.html

9月の税務と労務の手続き

9月に期限を迎える主な手続きを、提出先・納付先とあわせてまとめました。自社に当てはまるものがないか確認してください。なお「公共職業安定所」はハローワークのことです。

・10日:源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

・10日:雇用保険被保険者資格取得届の提出(前月以降に採用した労働者がいる場合)[公共職業安定所]

・30日:健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

・30日:健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

・30日:労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

・30日:外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合。雇入れ・離職の翌月末日まで)[公共職業安定所]

源泉徴収税額とは、給与から会社が天引きして預かっている所得税のことです。特別徴収は、社員の住民税を会社が給与から天引きして代わりに納める仕組みを指します。9月の末日は30日です。8月のように31日ではないため、月末納付の手続きは日付を間違えないようにしてください。

記事の監修者

酌井 敦史

しゃくい あつし

社会保険労務士/酌井社労士事務所 代表

全国社会保険労務士会連合会 登録番号 第23180049号
三重県社会保険労務士会 会員番号 第543号

1985年三重県伊勢市生まれ。2018年に社会保険労務士として開業。年間100社以上の労働相談に対応し、年間30件以上のセミナー講師を務める。給与計算・労働法務相談を中心に、三重県の中小企業を支援している。

本記事は2026年9月時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。具体的なご相談はお問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。